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賃借人居住安定法に疑問あり
※2011年12月、この法案は一旦廃案となりました。
賃貸住宅居住安定確保法案が一旦廃案に 国交省の津島政務官は法案の再提出を約束
2011-12-13
http://doumin.exblog.jp/15105848/





賃貸マンション・アパートのオーナーさんや、
不動産管理会社等、これらに関連するお仕事の方にとっては、
非常に辛い法律が成立しそうです。

賃借人居住安定法(または賃貸居住安定化法案)。
正式には、
「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律」
というものです。

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土地を借りたり建物を借りる場合の法律は、
「借地借家法」がメインとなります。
(民法では、もっと大まかなことしか定められていない)

「借地借家法」とは、
・大正時代に制定された「借地法」「借家法」を基にしている。
・時代錯誤な面も多い。
・賃借人を保護しすぎているため、以下のような問題点が。
 →土地を一旦貸してしまったら終わり。このため、遊休土地が増える。
   (対策として、定期借地権が追加され随分良くなりました)
 →建物においては、万が一不良賃借人を入居させてしまったら大変なことに。
   こんなことなら貸さない方が良かったということも少なくない。
   (定期借家契約も追加されましたが・・・)

かなり端折っていますが、簡単に言えばこのような法律です。

この、借地借家法。
大家と店子の関係における立場の強弱は昔ならばいざ知らず、
現在では時代錯誤と言わざるを得ず、
あまりにも賃借人を保護しすぎているため、
不良入居者に泣かされる大家さんや管理会社は少なくありませんでした。
(長期に渡る賃料滞納、近隣とのトラブル、裁判にかかる時間と費用、
挙句の果てに家財も何もかもそのままにして夜逃げ、
恐ろしいほど汚され破損した部屋、その後始末、莫大な費用負担etc・・・)

考えられる方法として「定期借家契約」という手もありますが、
現実的には難しい・・・。

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そんな中登場したのが「保証人代行システム」
賛否両論ありましょうが、これは業界では大変画期的なものでありました。

しかし、今年3月。
ついにメスが入ることになりました。
それがこの「賃借人居住安定法」です。
この法律は、
・保証人代行業者
・家賃等弁済情報提供業者(賃借人の信用情報を登録しDB化)
主にこの2業種が対象になると思われていました。

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ところがフタを開けてみると、個人の大家さんや管理会社にまで規制が及んでいます。
そして中身を見ると、「威迫」を禁止する旨が謳われ、
 ※威迫=人に不安の念を抱かせること
しっかりと刑事上の罰則規定も設けられています。

これはかなり厳しい。

多くの大家さんや不動産管理会社の一番の悩みは「家賃滞納」だと思いますが、
この法律が施行されてしまえばどうなるでしょう。
家賃が遅れている人に「支払ってください」ということもままならない。
借主が「不安に思った」と言ってしまえばそれまでと言うことなのですから。

そもそも、貸します・借ります と最初に約束した内容を、
互いに履行していれば何の問題もないこと。
家主側は、きちんとした物件を借主に提供する。
借主側は、規定の日までに対価を支払い、善管注意義務違反にあたらないように使用する。
これだけのことなんですが、
この、期日までに家賃を支払うという借主側の義務の部分。
それが出来なくてもOKというお墨付きを国が与えてしまうようなものです。

賃貸物件オーナーはボランティアではありませんし、
賃借人は「借地借家法」で十分すぎるほどに保護されているのに、
このようなあまりにも“一方を保護しすぎてもう一方が泣き寝入り”な法律を、
さらに制定する必要があるのでしょうか?

「弱者保護」を前提とした流れは、大変聞こえはいいのですが・・・。
(何だか派遣村の時のことを思い出します)

また、聞こえがいいせいか、参議院では反対票を投じた議員はいないようです。
(国籍法改正の時を思い出します)

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貸す側の自衛手段としては、
敷金を増やす、賃料を上げる、入居審査基準を厳しくする、
または、前述の定期借家契約という方法、
こういったところでしょうが、
供給過多とも言われる今般、
敷金や賃料を上げることは苦しい選択になるでしょうし、
定期契約も現実的には難しいでしょう。

いずれにしても、大家さんにとっては厳しい法律となることは間違いないようです。


※この法律が施行されると、外国人からの入居申し込みは断れなくなる、などと一部で言われているようですが、この法案自体には該当する条文はありません。おそらく、民主党と社民党がかなり力を入れている「人権擁護法案」や「外国人住民基本法案」との混同と思われます。ただ、建物賃貸借においても全く無関係とは言えず、これはこれで恐ろしい法案ですが。


それにしてもこの法案(閣法)。
事前に公聴会を開くなどすべきだったのでは?と思いますし、
もしもこのような極端な法案が通ってしまえば、
保護したかったはずの賃借人の首をも絞めることになるんですけどね。
貸す側も、保証人ビジネスも、管理会社も、色々な部分で慎重にならざるを得ないため、
審査基準のハードルが当然上がる。
そうなると、借りたいのに借りられない住宅難民が増える。

結局は本末転倒。

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2010年4月、某組合にこの件を質問。
全く知らなかったようです。
このような法案が提出されていること、その内容を説明しましたが、
残念ながらあまり危機感を感じてもらえなかったようです。
こういうことはいち早く察知し動くべきなのに、
知らなかったばかりか説明してもピンと来ないなんて・・・。
何のための組合なのかと思いましたが、
とりあえず担当されている方に伝えてもらうことに。
近々、総会(?)が控えており、
スケジュール的に厳しいのでその後になると言われました・・・。
仕方が無い、それでも良いのでまずは良く調べてほしいとお伝えください、
と言って終了。


関係業界の方々は、
こういった情報を早めに察知&早めに動くこと、
また、個々ではなく団体や組合単位で動くことをおすすめ致します。


※民主党が政権与党の間は、特にその必要があると思います。ただ、与党単独でも強行採決が可能なのが頭が痛い点です。
※今後の政府与党の動きを把握する意味でも、民主党の支持母体・支持団体や推進する法案等を調べてみるのも効果的かもしれません。

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■参考リンク

参議院ホームページ:議案審議情報
件名:賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/174/meisai/m17403174036.htm

衆議院ホームページ:議案審議経過情報
議案名「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DA880A.htm

国土交通省:賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案 (2010/02/12)
http://www.mlit.go.jp/common/000058035.pdf

国土交通省:賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案要綱 (2010/03/09)
http://www.mlit.go.jp/common/000109561.pdf

東京弁護士会所属 亀井英樹弁護士 (2010/03/02)
http://www.repros.jp/knowhow/k-kamei/10/0302-1410.html


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■関連する話題を追記

法案化を要請していると読売新聞で報じられたもの。
関係業者の方々は要注視です。
家主が自殺遺族に過大な損害賠償請求 全国自死遺族連絡会などは内閣府や民主党に法案化を要請 2010-09-27
http://doumin.exblog.jp/11988728/



他、当ブログ内の関連記事です。
「モンスター居住者」に泣く家主 クレームつけて家賃踏み倒し 2010-09-11
http://doumin.exblog.jp/11900676/

賃貸住宅管理業の登録制度、今秋以降に施行 独立制度も視野に準備 国交省 2011-01-25
http://doumin.exblog.jp/12872311/



2010年12月頃~、賃料に消費税を復活させる動きがあるとのことで、
全住協では署名活動を行なっています。
該当する法案は見当たりませんでしたが、念のためリンクを掲載しておきます。
社団法人全国賃貸住宅経営協会:家賃の消費税復活は絶対反対!署名活動にご参加ください!
http://top.zenjyu.or.jp/

衆議院ホームページ:議案
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm



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■参考リンク追記

衆議院ホームページ:議案審議経過情報(2011/01 第177回国会 ※衆議院で審議中)
議案名「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DAB23E.htm

衆議院ホームページ:本文情報(2011/01)
賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17405036.htm

司法書士法人・行政書士 星野合同事務所:家賃債務保証業適正化法による業規制について
平成22年12月20日
http://hgo.jp/news/lawtopics/20101220.html

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■関連記事追記

住宅新報社:都市再生特措法改正案など8法案を提出、不特法改正案は見送り 国交省
2011年1月21日17時56分
http://www.asahi.com/housing/jutaku-s/JSN201101210005.html
 国土交通省は、1月24日から始まる通常国会に都市再生特別措置法改正案や高齢者住まい法改正案など8つの法案を提出する。

 都市再生特措法改正案は、都市の国際競争力強化や都市再生を図るため、特定都市再生緊急整備地域(仮称)制度を創設することなどが目的。同地域で行う認定都市再生事業へは、税制優遇などを行う。また、高齢者住まい法改正案には、生活相談などが受けられる「サービス付き高齢者向け住宅(仮称)」の登録制度の創設が盛り込まれている。

 そのほか、国交省関連法案では、家賃債務保証業の許可制度や悪質な家賃取立て行為の規制を盛り込んだ「賃貸居住安定化法案」が前国会の衆議院で継続審議となっており、こちらの審議も予定されている。

 一方、不動産の再生事業などに対する民間資金導入を促進するため、倒産隔離されたSPCによる不動産特定共同事業(不動産取引のための資金を投資家から募り、収益を分配する事業)が可能となる新スキームを創設する不動産特定共同事業法(不特法)改正案は、提出が見送られた。国交省によると、新スキームによる不特法商品について、同法を共管する金融庁が金融商品取引法の規制を受けるべきと指摘。これに対し、国交省側は、不特法事業者のコスト負担増加につながるなどとして反対し、調整がつかなかったという。両省は今後も調整を続ける。


週刊ダイヤモンド:【第394回】信販会社が注力する家賃保証で個人情報の扱いに付く疑問符
2011年2月14日
http://diamond.jp/articles/-/11118
 信販会社大手がここ2~3年、力を入れてきた家賃保証サービスで、個人情報の扱いをめぐる、ある問題が持ち上がっている。

 このサービスは、オリエントコーポレーションやジャックス、アプラスなどが展開しているもので、賃貸住宅の入居希望者が一定の保証料を支払い、保証会社に連帯保証人の代わりになってもらうという仕組みだ。

 マンションなどを借りる際には、家賃を払えなくなった場合に備えて保証人が必要。ところが最近は、たとえ家族でも誰かに頼むのをいやがる人や、入居希望者の高齢化などで保証人をつけられない人が相次ぎ、利用者も急増。業界関係者によれば、サービスの利用はいまや賃貸借契約の2~3割に上るという。

 ところが、信販会社が家賃保証の契約を結ぶ際、シー・アイ・シー(CIC)や日本信用情報機構(JICC)といった信用情報機関に蓄積されている個人情報を利用しているというのだ。

 これらの機関は消費者金融での借り入れや、クレジットカードでのキャッシングなどの申し込みがあった際、審査のために照会するデータベースとして整備されてきた背景がある。

 その情報を、住居の賃貸借にかかわる契約で利用するのは、本来の目的から逸脱しているのではないのかというわけだ。

 CICやJICCは、家賃保証業務で利用するのは目的外利用に当たり、完全な「個人情報保護法違反」とする。ただ、家賃保証に伴ってクレジットカードを発行し、それで家賃決済をしてもらうケースについては、議論が分かれているのが現状だ。

 確かにカード発行時には、「業者は信用情報を確認する“義務”がある」(経済産業省担当者)。とはいえ、これは「実質的な家賃保証業務の契約の一部」(複数の業界関係者)に近く、「法律上は明確な違反でなくても、かなり微妙」と、問題視する声が多く上がっているのだ。

 信販各社は「カードを発行しない場合は、CICなどに照会していない」とするが、信用情報機関側は「発行の有無を確認するのは不可能で、利用目的を特定するのは無理」と、さじを投げている。となれば、個人情報の扱いに関して透明性が保たれているとは言いがたい。

 現在、こうした事態に対応するため、「賃借人居住安定法」の法案が国会に提出され、そこには家賃保証のための信用情報機関を整備することも盛り込まれている。

 カード発行を伴う家賃保証は、貸金業法や割賦販売法が改正される前から存在していたが、今回のような展開に、「法律が追いついていない」(CIC関係者)面も指摘される。法案の成立で制度整備が進めば、おのずと白黒がはっきりするはずだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

by doumin | 2010-04-30 16:23 | 社会 | Comments(0)
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