外資による日本の森林・土地取得、水問題 2013年の動き(5) ※5月

2013年5月の報道をまとめました。
2010年、2011年、2012年、2013年4月以前と6月以降のまとめ、問い合わせ結果、関連リンクについては、
こちらをご覧ください。
水循環基本法:制定向け、議連が福井の河川視察
毎日新聞 2013年05月01日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/news/20130501ddm005010131000c.html
自民、公明、民主、共産など超党派の議員でつくる「水制度改革議員連盟」(代表・石原伸晃環境相)は30日、地下水管理の先進地である福井県大野市の河川を視察した。政府に水資源の適正利用を義務づける「水循環基本法案」(仮称)の制定を目指しており、事務局長の中川俊直衆院議員は「今国会で成立させたい」と述べた。
6氏が参加。雪を解かすために使う地下水のくみ上げを規制し、水量の減少に歯止めをかけた大野市の取り組みを視察した。中川氏は河川行政が「縦割り」になっていると問題点を指摘。外国資本が、水源地の森林買収を進めている問題も挙げ、基本法案の早期制定が急務だと訴えた。【小山由宇】
全国農業新聞:相続未登記農地の影〈5〉 事態打開へ現場の声 財産権凌ぐ強い施策必要[2013-5-3]
http://www.nca.or.jp/shinbun/about.php?aid=4806
相続後の未登記農地が地域の農業に大きな影を落とすなか、事態打開に向けた現場の声が上がり始めた。
相続未登記農地が多い鹿児島県は、担い手への利用権の設定を、現行の持ち分の過半の同意から実質管理者(固定資産税の納税者)の同意でできないか、特区の活用を含め国へ相談している。市町村が人・農地プラン関連施策を進める上で、未登記農地がネックになっているからだ。
同様の動きは他県でもあるが、国は民法上の財産権に抵触するとして、これまで慎重な姿勢を崩していない。鹿児島県は「耕作放棄地の解消や農地の集約化を進めるために、なんとか突破口を見いだしたい」(農村振興課)と話す。
民間シンクタンクも声を上げる。東京財団は今年2月、「空洞化・不明化が進む国土にふさわしい強靱化対策を」と題する土地政策を提言した。
外資による森林買収への関心から土地問題全般の問題点を探ったもので、「所有と利用の両面で、日本ほど緩い先進国は見当たらない」と痛烈に批判。所有者不明地については時効取得のスキームの活用など、「簡便かつ公正な手法の導入」と、合筆を進めるなど権利関係の「透視化」を進めるべきとしている。
(おわり)
新潟日報:水源地保全の検討委設置 県 2013/05/08 18:01
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20130508041539.html
県は8日、県内の森林など水源地を適正に保全するため、有識者による検討委員会を設置することを決めた。初会合を13日に新潟市中央区で開く。全国で外国資本による森林買収が問題となる中、県は水源地の利用や取得を規制する条例の制定も視野に検討を進める方針だ。
検討委は新潟大名誉教授ら学識者、林業関係者、森林地が多い南魚沼市の市長、阿賀町の町長ら計7人で構成する。
泉田裕彦知事は8日の会見で「新潟のコメ、酒がおいしい理由の一つに豊富な雪解け水がある。水源地をどう保全していくのか、議論を開始したい」と述べた。県は将来の水源地保全の在り方について幅広く議論してもらう考え。
県によると、本県の森林面積は約85万8千ヘクタールで全国6位。これまでに外国資本が県内の森林を取得した例はないという。
産経:水資源保護 議連、近く法案提出へ 2013.5.13 21:35
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130513/trd13051321360019-n1.htm
中国をはじめとする外国資本による国内の森林の買収が相次いでいる。表向きの買収目的は「資産保有」「住宅」などとなっているが、地面のほとんどは二束三文の価値しかない。真のねらいは川や地下を流れる「きれいな水」のようだ。貴重な水源地である森林を外国に押さえられると、日本はたちまち水不足に陥りかねない。対策はどうなっているのか。
超党派国会議員でつくる「水制度改革議員連盟」(代表・石原伸晃環境相)の有志が4月30日、福井県大野市を訪問、湧水地点や水力発電の取水場などを視察した。
同市は、井戸枯れや地下水位低下を防ぐため、融雪用の地下水のくみ上げを昭和52年から条例で規制してきた。地下水保全の先進自治体といわれている。
それでも、市側は「自治体だけで水資源を守り抜くには限界がある」などと、国全体による水資源保護の必要を訴えた。
外資の買収とは直接のつながりはなさそうだが、視察した中川俊直事務局長(自民)は、市の規制は水を守る意味で参考になったと痛感、「水資源がどんどん海外の資本に奪われている。一刻も早く法案を成立させたい」と述べた。
議連は、昨年3月に策定した「水循環基本法案」を近く国会に提出する方針だ。法案は、水資源を「国民共有の貴重な財産」とし、首相が本部長を務める「水循環政策本部」を内閣に設置して、7つの省庁がバラバラに管理する国内の水資源を一体的に管理することを定めた。
林野庁は、平成17年以前に5件20ヘクタールの森林が外国資本に買収されているのを確認。18年から24年までも含めると68件、計801ヘクタール(東京ドーム約170個分)の買収を把握した。
国・地域別では、18年から24年までの累計で中国(香港を含む)が280ヘクタール、2番目はシンガポールで79ヘクタール。買収された森林は北海道を中心に、内陸部や、日本最大の人口を抱える埼玉や神奈川などの関東にも広がっている。
日本の水は良質で、水道水でも気軽に飲めるほど世界に誇れる財産だ。逆に、身近な存在ゆえか、水資源保護の発想に乏しく、大野市のような自治体の自助努力に任せていた。23年4月には森林法を改正し森林所有者に届け出を義務づけたが、取引への歯止めにはなっていないようだ。
安倍晋三首相は3月27日、参院財政金融委員会で「新たな法整備を含めて、しっかりと研究していく」と述べた。
ここに、大きな壁が立ちはだかる。世界貿易機関(WTO)のルールでは、外国人や外国資本であることを理由にした森林買収の制限を認めていないのだ。
ただ、WTOに加盟する米国は、国の安全保障を脅かす懸念がある場合は土地取引を無効にできる権限を大統領に付与している。昨年秋には中国系企業がオレゴン州の米軍施設近くの風力発電関連企業を買収すると、オバマ大統領は安全保障上の理由で待ったをかけた。WTOは貿易の世界。かたや、水は安全保障の世界といえる。(山本雄史)
産経:外資の買収対策も 県水源地保全で検討委初会合
2013.5.13 21:50
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130513/ngt13051321500003-n1.htm
新潟県内水源地の保全対策を検討するため、県は13日、委員会の初会合を開き、竹内公男・新潟大名誉教授が会長に就任した。条例制定を視野に、外国資本の買収対策なども検討議題とする。
委員会のメンバーは井口一郎南魚沼市長、神田敏郎阿賀町長、県林業経営者協会長、弁護士ら7人。
委員会では「外資による買収と森林保全策にどの程度規制をかけるのか」「外国人を排除するだけで条例ができるのか」などの質問が出た。竹内会長は「情報を把握しないと、知らないうちに買い占められてしまう心配が広がっていると理解している。県はどこまで対策ができるかだ」と述べ、情報収集策が課題だと指摘した。
林野庁の調査では、外資の森林買収は8道県で68件あり、資産保有や別荘に利用するほか、目的不明のケースもある。県治山課によると、本県で外資による買収はないという。
新潟日報:水源地、私有林が44% 事前届け出制求める声・県保全検討委
2013/05/14 12:02
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20130514042648.html
県は13日、外国資本による森林買収が全国的に問題視される中、水源地となっている県内の森林対策を協議する検討委員会の初会合を新潟市中央区で開いた。県は水源地のうち、土地取引の実態が見えにくい私有林が27万ヘクタールと44%を占める現状を報告。委員からは事前届け出制度の導入を求める意見が出た。
県は森林の取得や利用を規制する条例の制定を視野に入れ、検討委を発足。学識経験者や林業関係者、南魚沼市長、阿賀町長ら委員7人を選任し、委員長には新潟大の名誉教授が就いた。
初会合で県は、県内の森林85万6千ヘクタールのうち、水道の水源になっている上流部は72%の61万8千ヘクタール、そのうち私有林は27万ヘクタールと明らかにした。
2012年に施行された改正森林法で、相続や売買で森林を新たに取得した場合、事後届け出が必要になった。
県によると、本県での買収事例はないが、全国8道県で外資による買収事例が計68件あった。事例がない茨城などを含む11道県が事前届け出制を盛り込んだ条例を既に制定し、ほかに徳島、高知、宮崎の3県が制定を検討している。
森林など林野面積が9割を超える阿賀町の町長は「いつの間にか水源地を外国人に買い占められることにどう対応するか。事後届け出では難しい面もある」と述べ、条例制定に期待する考えを示した。ほかの委員からは「(経営規模拡大の制限など)林業者が支障を来す規制では困る」という指摘もあった。
次回は他県の条例について検討する予定。
水源地域保全:外国資本から水源保全を 条例化へ県が有識者委 森林売買の事前届け出制を柱に /新潟
毎日新聞 2013年05月14日 地方版
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130514ddlk15010095000c.html
森林など水源地域の保全策について検討する県の有識者委員会(会長・竹内公男新潟大名誉教授)が設置され、13日に新潟市内で第1回会合が開かれた。全国で外国資本などによる森林の取得が問題になっており、売買に事前届け出を義務づける条例制定を視野に議論する。
水源の保全については、北海道で09年ごろから外資による目的不明の土地の大量取得が相次ぎ、問題化した。県内では事例はないが、農林水産省の調べでは06〜12年に、8道県で68件801ヘクタールの森林が、居住地が海外にある外国人または外国人と思われる人に取得されている。
県によると、これまで北海道や埼玉、群馬、長野、山形など11道県で事前届け出制を柱とする条例が制定されている。また徳島、高知、宮崎3県でも制定を検討しているという。また、国でも11年に森林法が改正され、森林取得について市町村への事後届け出制を設けている。
県内は総面積の68%にあたる85万6000ヘクタールが森林で、72%が水道の水源になっているという。森林のうち私有林は42万9000ヘクタールという。
検討委は、森林を多く抱える南魚沼市の井口一郎市長、阿賀町の神田敏郎町長と、林業関係者や弁護士ら委員計7人で構成。この日は、県の事務局から現状についての説明などがあった。年内にも対応策などの意見をまとめ、泉田裕彦知事に提出する予定。
竹内会長は終了後、「所有、管理が分からない森林が出てきて、目的不明の取引がまん延したら困る。地域の人が実態が分かるような情報を得られることが必要だ」と話した。【小林多美子】
日本財団会長・笹川陽平 外資の手から「重要な国土」守れ
2013.5.17 03:09 (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130517/plc13051703100002-n1.htm
土地売買の規制は外資も含めほぼ皆無、一方で土地所有者の権利(私権)は際立って強い-。2010年、「外資による森林買収」が北海道議会で初めて明らかにされて以来、世界でも特異な日本の土地制度があらためて浮き彫りになっている。
一方で土地取引を取り巻く環境は経済のグローバル化、過疎に伴う不在地主の増加など急速に様変わりしている。関係省庁がバラバラに土地情報を管理する旧態依然の現行制度では、その変化に追い付けず、外資による森林買収の実態どころか、納税義務者を把握できないまま固定資産税を欠損処理するケースも増えている。
《土地取引の規制求める地方》
これでは国土を健全に保全するのは難しい。水源地だけでなく国境近くに位置する離島や防衛施設、空港、港湾などを「重要な国土」に指定し、売買や利用を監視・規制していく必要がある。
外資による森林買収について、国は民主党政権時代の11年春、森林法を改正し森林売買の「事後報告」を義務付けた。しかし、しばしば道路建設などを遅滞させる私権の強さを前に「事後報告後」に取り得る対策には限界がある。100を超す自治体が国に規制の強化を求める意見書を提出し、11道県は条例を制定し水源地域の土地売買の事前届け出や買収後の利用計画の明確化などを義務付けた。
外国人、外国法人による森林買収について、国土交通省は06年から7年間の実績を「北海道、群馬、沖縄など8道県で計68件801ヘクタール」と公表している。しかし外国企業が日本企業名義で土地を購入する名義貸しや未届けの土地売買も多く、どこまで実態を反映しているか疑問。現に北海道庁が水資源保全地域に指定した土地の4000人を超す所有者に条例内容などを郵送で通知したところ4割以上が宛先不明で返送された。
土地売買をめぐっては、農地法が農地の転用について都道府県知事らの許可制を定めている以外に何らの規制はない。土地情報は地籍調査、国土利用計画法に基づく土地売買届け出、不動産登記簿、固定資産課税台帳などを通じて関係省庁が個別に作成・管理しているが、土地に関する戸籍である地籍は開始以来、60年以上経た現在も進捗(しんちょく)率が50%にとどまる。
《明治以来の制度で対応できぬ》
急速に進む少子高齢化、過疎に伴い村外、県外への所有者の拡散が進み、国土の約4割を占める私有林の4分の1は不在地主との数字もある。経済のグローバル化が土地取引を一層、複雑にしており、明治以来の古い土地制度で対応するのは無理がある。土地取引の実態を迅速に把握し、情報をトータルに管理・共有できるシステムの構築に向け、関連法の改正や新法の制定を急ぐ必要がある。
欧米各国では、あらかじめ土地の利用に厳しい規制を課し、実質的に所有権を制限する方法や重要なインフラに対する外資の投入について政府がいつでも介入できる制度などを設け、国土の保全を図っている。農地以外の土地売買に規制がなく、外資の規制も皆無という日本の姿は世界でも稀有(けう)で、あまりにも無防備である。
もちろん、戦前は外国人土地法(1925年制定)で、日本人による土地取得を認めない国の国民や法人による日本の土地取得を相互主義の立場で制限し、勅令により、「国防上、必要な地区」に指定した島や港湾の外国人による取引を禁止・制限していた。
《現状を把握し国家戦略を》
現在は、世界貿易機関(WTO)の「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)で、土地取得について外国人を日本人と同様に待遇することを国際的に約束しており、直ちにこれを見直すのは難しい。こうした中で、安全保障、資源保全両面から国土の保全を図るには、「重要な国土」の指定こそ現実的である。
一昨年末、長崎県・五島列島の無人島に関する調査結果が五島市から公表された。これによると52の無人島のうち実に17島は民有だった。島の一つが売りに出され、市民から不安の声が出たのが調査のきっかけで、当面の売却は見送られた。だが、国境に近接し、成り行きによっては、新たな国際紛争の火種となる可能性さえ秘めた島々を民有のまま放置した現状は、厳しい国際情勢の中で、あまりに能天気である。
「重要な国土」に関しては、昨春、外国人による土地取得に関する民主党のプロジェクトチームも中間報告で同様の考えを打ち出した。安倍晋三首相も3月の参院財政金融委員会で、「安全保障上、何をなすべきか、新たな法整備も含め、しっかりと研究したい」旨の発言をしており、与野党が協力できる余地は十分あるはずだ。
近年、山林だけでなく、沖縄の米軍基地用地や長崎県・対馬などでも外資による土地買収がうわさされ、真相がはっきりしないまま不安が増幅している。いたずらな動揺を防ぐためにも現状を迅速に把握し、国土をどう保全していくか、法整備も含めた国家戦略を早急に打ち出さなければならない。(ささかわ ようへい)
森林保全条例:制定へ 取引、開発の監視強化 県、来年度の導入目指し /徳島
毎日新聞 2013年05月17日 地方版
http://mainichi.jp/area/tokushima/news/20130517ddlk36010582000c.html
県の面積の4分の3を占める森林を保全しようと、取引や開発への監視強化などを盛り込んだ「県豊かな森林を守る条例(仮称)」の制定を県が目指している。全国で相次ぐ外国資本による買収をけん制するとともに、水源涵養(かんよう)などの機能低下を防ぐのが狙い。有識者らによる検討会を立ち上げて議論を進めており、年度内に条例案を県議会に提出し、来年度にも導入したい考えだ。【阿部弘賢】
森林買収をめぐっては、北海道などで外国資本の参入が問題化したことを受け、全国で条例を制定する動きが広がっている。県によると、現在、北海道や埼玉、長野両県など11道県が制定。売買の際に事前の届け出を義務づけることが柱で、石川、福井、岐阜の3県では無届け売買をした場合の過料規定も設けられているという。
県内ではこれまで、外国資本による買収事例は確認されていない。しかし、外国資本の場合は取引の目的が不明確なケースが多く、無秩序な開発につながらないよう事前に取引自体を把握することが必要と判断した。加えて、木材価格の下落による林業の低迷や所有者の高齢化の影響で県内の森林の8割以上を占める私有林が荒廃すれば、水源涵養機能が低下する恐れもあるため、保安管理体制も合わせて強化することにした。
条例は昨年の11月県議会で飯泉嘉門知事が策定する意向を表明。3月には大学教授や不動産鑑定士、森林組合の代表者らでつくる条例策定検討委員会の初会合が開かれ、現状や条例の方向性について意見交換した。
今後、無許可開発を規制するエリアや、取引・開発など規制対象行為が検討される見通し。県は検討委の意見を参考にして年内にも条例案をまとめる方針だ。総合政策課は「開発や取引の規制と森林経営のバランスを取りながら、実効性のある条例にしたい」と話す。
産経:水資源保全 基本方針素案を公表 長野県
2013.5.24 02:03
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130524/ngn13052402030000-n1.htm